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★MotoGP2014 ヤマハ M1を”新世代ライダー”に合わせて改造中?

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たまに翻訳しながら「コレは!」と思う面白いニュースがあるんですが、今回のはまさにそれですね。

要約すると、ヤマハはMoto2出身ライダー達のブレーキングでリヤをスライドさせながらのコーナー進入というライディングスタイルに合わせてM1を改良しようとしている。そしてその先行投資としてMoto2チャンピオンであるポル・エスパロガロと契約を交わした。ということなんですが、ロレンゾに代表される流れるような美しいコーナリングというM1の特性とのバランスが気になるところ。

2016年末にロッシとヤマハとの契約が切れるわけですが、そこでロッシが引退となってポルがファクトリーにステップアップするのか、それともロッシがまだまだ現役で走るのか?ロレンゾとポルのライディングスタイルの違いをM1は許容出来るのか?などなど疑問は尽きませんね。

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多くのMotoGPフォロワーがヤマハがポル・エスパロガロとファクトリー契約を2013年の初めに行った際、その判断について懐疑的だったが、一年後シーズンの半分が終わった今、懐疑はむしろ称賛に変化している。

エスパロガロ兄弟の弟はサテライト参戦のライダーの中では最高の成績を収めており、シーズン開始の段階から高い戦闘力を発揮してきた。

 

ヤマハがポルと一緒に”ある計画”を進めるつもりで契約をしたことは明白だろう。

 

実際、Moto2で育ったライダーのライディングスタイルは250ccのGPシーンで育ってきたライダーとは明らかに異なる。Moto2のライダーはコーナー進入時にリヤタイヤのスライドをきっかけにして向き変えを行うことが多いが、250cc2ストロークの場合、出来るだけブレーキングを早めに開始し、可能な限り高いコーナリングスピードを保ったままコーナーに進入するというライディングスタイルが定石だ。

 

YZR-M1は今までずっとそうした250ccのライディングスタイルに沿って開発が進められてきたが、今後Moto2で育ったライダーがMotoGPクラスで走行するとなると、彼らの新生代のライディングに合わせたバイクの開発が必要であるとヤマハは気づいた。ヤマハはこの中間排気量クラスがMotoGPに与える影響について真剣に考え始めたのだ。


この開発はポル・エスパロガロのクルーチーフのニコラス・ゴーヤンが主導してきた。フランス出身のゴーヤンは、このクラスの出走マシンが全て4ストロークに変わった初年度である2003年からMotoGPでデータ、そしてエレクトロニクスのメカニックを勤めてきた。その時からゴーヤンはルーキーのエスパロガロのクルーチーフを勤めてきた。

ゴーヤンがMoto2チャンピオンであったエスパロガロのクルーチーフであったこともあり、ヤマハはMoto2のスタイルをM1に取り込む方法を探ってきた。

 

本誌はブルノテストの後にゴーヤンにインタビューを行い、ポルのMoto2スタイルの乗り方をどうやってマシンにフィードバックしているかなどを聞いた。


デイビット・エメット(asphaltandrubber.com)
ヤマハのスタイルというのは限りなくスムーズで、可能な限り高いコーナリングスピードを維持してのコーナー進入だと理解しています。つまりブレーキングは直線上で行い、ホイールを極限まで前後輪とも(向きを)揃えたまま美しく走るわけですが、ポルはMoto2スタイルの乗り方を試しているようですね。まず最初に伺いたいのは、何故彼はこのスタイルを試そうと思ったのか?そして彼はこのことをあなたに話したりしましたか?」

 

ニコラス・ゴーヤン
「ええ、勿論。こういったライディングスタイルというのはヤマハが試したいと思っていた方向の1つですからね。ヤマハにとって、ポルはMoto2のチャンピオンとしては初めて一緒に仕事をするライダーです。ですからヤマハは彼の新世代のライディングには興味津々というわけですよ。Moto2のライダーはそれぞれにある一定のスタイルを持っています。つまり肘を路面に擦りつけ、ブレーキングでリヤを流して向きを変えていく。こうしたライディングスタイルを持つライダーは今までヤマハには居ませんでした。」

「ですからヤマハは非常に関心を持ったわけです。特に我々はホンダに追いつきたいと思っていますからね。ホンダはこうした新世代のライディングにフィットしたバイクにどんどん変わっているように思います。ですからヤマハはポルに投資をしているんです。こうしたブレーキングの方向性のマシンを開発するためにね。ですから、今はこの方向性がヤマハのマシン開発の方向性の1つとなりえるのかどうかを探るため、エンジンブレーキや様々なセッティングの部分で努力していますよ。」

 

デイビット・エメット
「バイクにそうした動きを可能にさせるために何を行ったんですか?よりエンジンブレーキの効力を高めることなのか、リヤのブレーキングの比重を増やしているのか?」

 

ニコラス・ゴーヤン
「最初の頃、つまり昨年はヤマハのマシンはブレーキングで非常に不安定だったんです。非常に揺れが大きかったんですね。ですからまずはバイクを安定させるようにしまして、これに関しては上手くいったと思っています。新世代ライディングスタイルに対応するセッティングについてはル・マンから開始したんですよ。」

「バイクのセッティング、エンジンブレーキなど様々な部分ですね。リヤのスライドに関しては、スムーズで一定のスライドが起こせるようにしました。これによって向き変えの時にバイクをより良い方向に向ける事が出来るんです。現在は主にこういった方向で開発を進めています。」

 

デイビット・エメット
「主にはエンジンブレーキングとエレクトロニクス、そしてサスペンションもそうなんでしょうか?」

 

ニコラス・ゴーヤン
「”バイクのセッティング”というのは、全てを含んで言っています。つまりバランスなんですよね。フロントとリヤのサスペンションのセッティングにしても、これは前後共に動くサスペンションのバランスですし、エレクトロニクス、特にエンジンブレーキのセッティングもそうですよね。」

 

デイビット・エメット
「こうしたMoto2からの新世代と言えるライディングスタイルはヤマハのマシンに合うものなんですか?それとも何かしらマシンに変更を加える必要があるものなんでしょうか?」

 

ニコラス・ゴーヤン
「現状に関してはこのバイク(M1)の1つの限界点に到達したと感じています。指摘頂いたようにM1の最大の強みはコーナリングスピードにあります。M1は開発当初からストレートで強力なブレーキングを行い、ブレーキリリースをしてコーナーに非常に速い速度で飛び込むという方向で開発が進められてきました。」

「ですから(ブレーキング区間でリヤタイヤをスライドさせて積極的に向き変えを行うという)新世代のライディングのブレーキングに適応するのに少し苦戦しているんです。どうしたらベストなのかを模索していると言えますね。こうした新世代のブレーキングに対応するべく開発を進めているんですが、現状ではバイク自体の性格とこのスタイルはあまり合っていないと感じています。このスタイルは良い部分も悪い部分もあります。方向性は定まっていないですが、ヤマハならではのやり方を模索しているところです。」

 

デイビット・エメット
「で、これはサーキットごとに変化するんでしょうか?どのサーキットだとこのやり方がマッチする/しないということはあるんですか?」

 

ニコラス・ゴーヤン
「まさにその通りです。さらに細かく説明すると、ある特定のサーキットのある特定のコーナーではこのブレーキングが有効だったりするわけです。タイトコーナーでハードブレーキングが要求されるようなコーナーだとこうしたブレーキングは非常に有効ですね。」

「ただしコーナリングスピードの高いコーナーになるとある程度深いリーンアングルでブレーキングをする必要があるわけですから、このスタイルのブレーキングは非常に困難になります。」

 

デイビット・エメット
「なるほど。となるとル・マンや茂木では有効だが、フィリップ・アイランドでは使えないと。。」

 

ニコラス・ゴーヤン
「まったくもってその通りです。」

 

デイビット・エメット
「ということはこの新しいスタイルを取り入れようと実験を重ねているが、現時点での限界点に達しており、これ以上この方向での模索を続けるとなると、今のマシンが持っているメリットを失いかねないということでしょうか?」

 

ニコラス・ゴーヤン
「そうなんです。ブルノでは実にセッティングに苦戦したんですが、この方向性でのセットアップは限界に達しているんじゃないかと思ったんですよね。ですから何らかの解決策を見つけるか、中間点となるようなセットアップにするかですね。」 

「ただ、先ほども指摘頂いたようにこれ以上この方向で進めると、むしろデメリットのほうが大きいですね。それは本意ではありませんから。」

 

デイビット・エメット
ヤマハがこちらの方向にマシン開発を振ると思いますか?ヤマハにはロレンゾという素晴らしいチャンピオン獲得ライダーがいて、彼のスタイルはこの方向性とは対極であると思います。ただ新世代ライダーはMoto3やMoto2から入ってくる訳ですが。。」

 

ニコラス・ゴーヤン
「それは私には回答出来ませんね。ヤマハの未来の考えを知っているわけではありませんから。ただヤマハが多いに関心を持っている事は間違いありません。だからこそポルに投資している訳ですから。」

「実際、ポルは全く新しいライディングをしていますよ。ヤマハもかなり彼のデータを収集していますしね。ヤマハがこの方向性に関して何らかの助けとなる何かを用意してくれるとは思いますが、確証を持っては言えないですね。あくまでヤマハが決定する事ですからね。」

 

asphaltandrubber.com