★ペドロサ 「スズキで走るならば800万ユーロ必要」
Sponsored Link
ペドロサがスズキに提示した「スズキで走るならば契約金として800万ユーロを希望する」というニュースの詳細考察記事がasphalt and rubberに出てました。
確かにスズキの弱みはホンダやヤマハには及ばない参戦予算で、その試金石としての800万ユーロ。納得です。
ロレンゾがホンダに移籍するのか、ペドロサがホンダで契約金の減額を甘んじて受け入れるのか?それとも違うファクトリーに移籍するのか?全てはこの先の数週間で明らかになる。
ペドロサがホンダから提示された1シーズンのベースサラリーは600万ユーロから150万ユーロへと下がったと言われている。※ただし勝利した時、チャンピオン獲得時のボーナス額が大きい。
スズキはペドロサに関心を示しており、MotoGPの中で経験があって勝てるライダーを迎え入れる事で戦闘力を高めたい狙いがあることが明らかだ。ドプニエの記録しているタイムは、トップのライダーから比べると数秒遅れという現状がある。
今現在でいうと、MotoGPの中で勝てる可能性があるライダーは4人しかいない。2008年から考えても実に6人のライダーしか勝利していないのだ。
ケーシー・ストーナー、ダニ・ペドロサ、ホルヘ・ロレンゾ、ヴァレンティーノ・ロッシが複数勝利を上げており、ベン・スピーズはアッセンでの勝利が一回という結果だ。
スズキがちゃんと記録を出せるライダーを欲しいとしたら、今までの状況から考えるとダニ・ペドロサ以外に選択肢はない。
ペドロサは今までチャンピオンシップでの優勝はないものの、今現在MotoGPクラスを走行するライダーのなかでは、最も成功したライダーの一人であることは間違いない。
当然ペドロサもこの事は理解しており、スズキが彼がスズキに求める条件よりも強くペドロサを望んでいることを知っている。
ドイツのWebサイトspeedweekによると、ペドロサは浜松のこの会社に800万ユーロを要求したと伝えられている。
もしスズキがこの条件を飲めば、ペドロサにとってはかなりの給料アップになる。ただペドロサにとってもスズキで勝てる保証はどこにも無い。
この提示金額は彼の傲慢さの現れなのだろうか?
実際、ペドロサというライダーは一般的な成功したアスリートからすると、恐ろしく控えめで腰の低いライダーだ。
察するに、これはペドロサなりの気遣いなのだろう。スズキにそれとなく契約は無理だという事を破格の契約金を提示することで示しているのだろう。
他の一流ライダーと同様に、ペドロサも自分のスタイルがあり、ライダーとして何がしたいか、したくないかという基準もしっかりと持っているだろう。
そう考えると、この法外にも思える金額の提示によって、ペドロサはスズキの本気度を測っているのだろう。
別の分野でこういう事が過去にあった。
1980年代の初めに多くのロックバンドが、彼らの楽屋に様々な食べ物や飲み物を用意するように求めた契約を結んでいた。
良く知られる特殊なケースとしてはヴァン・ヘイレンの例がある。
彼はドレッシングルームに「ボウルいっぱいのM&Mチョコレートをブラウンのものは抜いた状態」で置いておくように契約書の中で指示していた。
もし一つでもブラウンのチョコレートがボウルの中に入っていた場合、ツアーの契約金は全額貰ったまま、ツアーを途中でキャンセルする権利がバンドに与えられていた。
これは契約の極端な例として捉えられるが、彼らは人気が高かった為に、今までのバンドが演奏してこなかったような凄まじい数の照明がある場所、花火の打ち上げ会場などの過酷な場所でのギグを強いられたという背景がある。
ちなみにこの花火について語っておくと、バンド側が要求していた安全策が取られていたとは言い難く、バンド側が契約書の中で何かしら手を打たなければ、彼らも観客も深刻な危険にさらされていたであろう。
つまり、彼らがボウルの中にブラウンのチョコレートを発見した場合、契約書が読み込まれていない=要求していた安全策が取られていない可能性が高くなるわけだ。
話をペドロサとスズキに戻すと、ペドロサにとってGPシーンにおいて限られた成功しかないスズキへの移籍は相当にギャンブルだ。
スズキから参戦したライダーが共通で口にする不満としては、投資金額の圧倒的な不足だ。ホンダやヤマハに比べると、GPに投入する資金が桁違いに低い。スズキとの契約を考えているライダーは、この事実を良く知っておくべきだろう。
では、ライダーとしてスズキの本気度を測るにはどうすれば良いのか?
その答えは今回のペドロサがとった行動となる。つまり、契約金として法外な金額を要求すれば良い。
もし、スズキが一流ライダーの獲得に800万ユーロ出すことを渋るのであれば、1000万ユーロ以上の開発コストがかかるMotoGPマシンの開発を真面目にやるわけがないだろう。