★MotoGP2014 知っているようで知らない「腕上がり」とは?
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Cycle Worldに、知ってるようで知らない用語の一つ「腕上がり」の解説が詳しく載っていました。
実際のところの意味としては「慢性筋区画症候群」が正しい訳のようで、良く知られている「腕上がり」から想像するものとはだいぶ意味が違いました。
「腕上がり」とは?
MotoGPレーサーのペドロサ、ブラドルが、バイクレーサーよりはランナーに広く知られる症状の手術を受けた。ランナーの場合は足にこの症状が発生するわけだが、バイクレーサーの場合「arm pump」として良く知られている。
医療用語では「chronic exertional compartment syndrome(CECS)」というものだが、パドックでは単純に「arm pump」と呼ばれる。CECSは、筋肉の酷使のしすぎで男女関係なく起こる症状の一つである。
トライアスロンや長距離走など筋肉を長時間酷使する場合のスポーツで一般的だ。
2輪スポーツの場合、ロードレースよりもモトクロスなどで症例が報告されている。モトクロスのような暴れる車体をコントロールする乗り方で起こりやすいということは、想像に難くないだろう。
CECSを理解する場合、筋肉の解剖学、生理学から考えたほうがわかりやすい。
束になった筋細胞は強く、薄く、それほど伸縮性はない膜「筋膜」に包まれている。
ソーセージの外側の膜のようなものと考えればわかりやすいだろう。
筋肉に多くの負荷がかかると血流が増大し、筋肉が20%ほど大きくなる。しかし筋膜自体に伸縮性はほとんどないため、膨張した筋繊維は筋区画の内圧を上昇させる。
この状態になると、筋肉は大きな力を出すことが難しくなり、四肢のパフォーマンスは低下する。腕の場合は手首、手、指の動きが鈍くなっていく。
CECSは痛みを伴うので、多くの場合、痛みの原因を探していく中で見つかるケースが多い。痛みは運動開始から数分で始まり、運動終了後20分ほどで消える。症状の発生中は、腕に力が入らない、しびれるなどの症状が出る。
急性筋区画症候群と異なり、「arm pump」の場合、症状は一時的なものにとどまる。
しかしレースの現場でとらえた場合、腕に痛み、しびれがある状態では良い結果は望めないだろうし、転倒時の怪我のリスクが高まる。
「arm pump」の場合、症状が一時的であるため、腱炎のような軽い症例と誤診されるケースも多い。
専門家の場合、針に圧力計がついた医療機器で、症状が出ていない状態での筋区画の圧力でこれを診断する。
治療法
「arm pump」の確実な治療法は筋膜切開だ。麻酔をかけた状態で筋膜にスリット状の切れ目を入れて、筋区画の内圧を開放する。
一般的に術後数週間は筋肉を休めることが望ましい。
ペドロサとブラドルの場合、術後2週間以内の状態でル・マンに挑む状態だが、手術によって彼らのやる気が「奮い立った!」と言っておこう。
(※管理人注 pumpedは口語で「やる気に満ちた、奮い立った」という意味)