★MotoGP ブリヂストン撤退により、マルケスは勝てなくなる?
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決勝を待つだけのヘレス戦ですが、asphaltandrubberからブリヂストン撤退に関する考察記事がありました。
内容としては「ブリヂストンの撤退で、全体のレースペースの低下/マルケスの快進撃が終わるかも?」という内容です。
2016年からのタイヤの話
日曜にレースが行われるが、これは完全に未来の2016年からの話だ。
なぜこんな話題をするのか?それはブリヂストンが2015年いっぱいでMotoGPから撤退すると発表したからだ。
バイクにとってタイヤは非常に重要なパーツだ。マシンの全体の性能を決める非常に重要なパーツの一つだ。
どれだけ馬力のあるエンジンでも、それを路面に伝達するタイヤが役立たずでは意味がないし、どれだけのストッピングパワーを誇るブレーキであっても、レバーを握った瞬間にタイヤが腰砕けになってしまったのでは意味がない。
アクセル/ブレーキの際の挙動がまともであっても、コーナー進入時にバイクがプードルが乗ったスケボーのようにふらふらしていたら、良いラップタイムなど期待出来ないだろう。
特にオープンクラスで走行するアレイス・エスパロガロなどがわかりやすい例だ。彼自身が良い選手なのはいうまでも無いが、彼がソフトリヤタイヤの恩恵に預かっていることは間違いない。
また、特に強烈なブレーキングをしているマルケスもそうだ。彼の場合ブレーキングの姿勢においてはほぼストッピー状態になっており、その状態でバイクを曲げようとしている。
マルケスは「リヤタイヤが再び接地する時はバイクがアグレッシブに動きますが、マシンのセットアップやライディングスタイルを合わせています。重要なのはフロントタイヤを信じることですね。ダンロップを履くMoto2のバイクではこれは出来ませんでした。ブリヂストンを履くMotoGPのバイクだともっとプッシュ出来そうだなと感じられるんです。ダンロップだとコーナーのエントリースピードを活かした、スピードを落としすぎないブレーキングが有効でしたが、ブリヂストンの場合、コーナーのエントリー部分でしっかりと減速してやることが大事です。」と語る。
2016年に新しいブリヂストン以外のタイヤを履く各チームは色々と苦労するであろう。というのも、タイヤに合わせてマシンを作り込むのは非常に手間がかかる作業だからだ。
ホンダのナカモト氏は「タイヤとバイクのマッチングを見るための開発には、最低でも6週間はかかるし、一般的にタイヤを変えるとなると開発資金が色々とかかる。これはファクトリーが望んでいる方向ではありません。ただ我々は既に撤退を決めた以上、何らかのアクションを起こすことは無いでしょう。」としている。
新しいタイヤサプライヤーはどこになるのか?
大方の予想としては、ダンロップ、ピレリ、ミシュランだ。ブリヂストンよりは性能は落ちるかもしれないが、どのメーカーも近年のタイヤの製造に関して実績があるメーカーである。
パフォーマンスの低下によってペースが下がるということに関してはヘレスのような伝統的なサーキットにとっては歓迎要件だ。
特に1コーナーなどは、サーキット設計時よりもマシンのアプローチスピードがはるかに上がっているために、新しいエアフェンスなどのバリアを追加で接地するなどの対策をしている。
バイクのスピードが下がるということは、ブレーキは容易になり、コーナースピードも下がる。当然転倒の際などもバイクの滑走距離は短くなる。
バリアも壁のようにやたらと高くする必要はなくなる。ヘレス、ザクセンリンクの1コーナーなどは、増設されたバリアが特に顕著だ。
ブリヂストンはタイヤのパフォーマンスに関してかなりの批評を受けてきたが、実際彼らのタイヤのパフォーマンスは素晴らしく、毎年パフォーマンスを向上させている。
ロレンゾは「ブリヂストンのタイヤはフロントタイヤが特に素晴らしい。ミシュランからブリヂストンにスイッチした時に特にそのパフォーマンスには驚かされました。」と語る。
ロッシは「ブリヂストン以外のタイヤを履いたのは2007年が最後だったけど、ミシュランからスイッチした時は最初から大きな違いを感じたね。2016年からは電子制御が減ってタイヤが変わるわけですから、大きな違いが起こることになりますね。もしかしたらライディングスタイルを変える必要があるかもね。次のタイヤがどこのメーカーになるかはわからないけど、ブリヂストンと同じレベルにたどりつけるかどうかはわからないね。」と語る。
ペドロサは「一番大きい懸念としては安全面ですね。その次に来るのがパフォーマンスです。」と語っている。
結局ブリヂストン撤退の理由ははっきりせず
ブリヂストンは「MotoGP参戦時に設定していたいくつかの目標を達成したため。」としている。
その目標とは、「タイヤのテクノロジー開発、R&D」「ブランドの認知」「ビジネスリレーション」「従業員の技術力アップとプライド」とのことだ。
レースの現場から直ぐにオンロードタイヤへのフィードバックが出来るところとしては、特に耐久性の部分、冷間時のタイヤの温まりの早さなどの技術だろう。
なぜMotoGPから撤退するのかということに関するブリヂストンの発表は、あくまで「MotoGP参戦時に設定していたいくつかの目標を達成した」であり、ドルナからのいくつかの要求(※管理人注 おそらくパフォーマンスを下げること/年間の供給コンパウンド数を増やすこと)に対する直接的な回答、参戦時からのブリヂストンに対する批判に対する回答は無い。
ブリヂストンのフタミ氏によると「ライダーからの不平の声は普通。彼らは常に上を目指しているのだから。彼らの要求に応えるために巨額の資金を投資して開発してはきた。撤退が何か大きな変化につながるとは考えていないが、インパクトある出来事にはなるでしょう。」と語っている。
ブリヂストンのヤマダ氏は「F1からの撤退から1年後にブリヂストンは最大のセールス、利益を更新した。」と語る。
最高峰のレベルでの開発と実際のセールスとは、完璧に一致することでは無いようだ。
いくつかのファクトリーへの「レースをすることで得られる具体的な財政上のリターンはあるのか?」という私の疑問は、結局のところ結論が得られずに終わった。
ファクトリーは投資に対する回収をしっかりと確認するわけではなく、レースがしたいからレースをしているわけだ。
(記事元 asphaltandrubber.com)